映画『ムカデ人間』は実はナチスの黒歴史

『ムカデ人間』のような人体実験を繰り返した死の天使ヨーゼフ・メンゲレ医師とは?

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  1. 『ムカデ人間』映画データ
  2. 『ムカデ人間』を地でいった
     ”死の天使”ヨーゼフ・メンゲレ医師
  3. 「メンゲレの犬」とされた
    ユダヤ人少年の記録

『ムカデ人間』映画データ

ヨーゼフ・メンゲレをモデルにした映画『ムカデ人間』
2010年公開
制作トム・シックス
イローナ・シックス
監督・脚本・編集トム・シックス
音楽パトリック・サベージ
オレグ・スピーズ
撮影グーフ・デ・コニング
登場人物ヨーゼフ・ハイター博士:ディーター・ラーザー
リンジー:アシュリー・C・ウィリアムズ
ジェニー:アシュリン・イェニー
カツロー:北村昭博
クランツ刑事:アンドリュー・レオポルド
フェラー刑事:ピーター・ブランケンシュタイン
エイミー:ローズマリー・アナベラ
あらすじかつて結合双生児の分離手術の名医だったヨーゼフ・ハイター博士は、これまで自身が行ってきた分離手術とは反対に、人間の口と肛門を繋げて「ムカデ人間」を創造する密かな願望を抱いていた。
ある日、旅行中のアメリカ人女性リンジーとジェニーが車で移動中にタイヤがパンクし、ハイター博士の家に救助を求めてくる。ハイター博士は願望を実現すべく、何も知らない二人を快く迎え入れ、自身が捕らえた日本人のカツローを加えたムカデ人間の製作に乗り出す。
映画『ムカデ人間』の基本情報


タランティーノ映画のようなB級系ホラーが好きな方は楽しめるかもね。
でも映画『ムカデ人間』よりもまさに・・・

「現実は映画よりも奇なり」

この映画、実はトム・シックス監督のオリジナル創作作品とは言い難いのよね!

想像力の産物ではないのよ!

あらすじにある結合双生児って、双子が結合状態で誕生する奇形児のことなんだけど、
ベトちゃんドクちゃんをご存知の方もいらっしゃるかと。

この結合双生児とは別名シャム双生児とも言われてて、1811年〜1874年、タイでイギリス人によって発見されたチャン&エン・ブンカー兄弟は、胸部と腹部の中間付近で結合した状態で誕生した奇形児だった。
この事からタイ(当時、シャム)で発見されたことから別名がついてる。

1829年イギリス人に引き取られ、サーカスの見せ物として欧米を巡業してたみたい。

1843年にチャン&エン・ブンカー兄弟は、それぞれ普通の姉妹と結婚。
兄弟合わせて21人の子供を作ったとか。
2人は当時の医術では分離手術が不可能で生涯共に暮らし、共に62歳まで生きたとか。

結合双生児で生涯を過したチャン&エン・ブンカー兄弟

このチャン&エン・ブンカー兄弟はあくまでも生まれながらの障害だった。

だけど、ナチスのアウシュヴィッツ絶滅収容所で人体実験していたマッドドクターこと、ヨーゼフ・メンゲレはなんと人工的におぞましい外科手術によって、この結合双生児を作り出したと言われている。

実は近年、人間の起源も猿から進化したのではなく、何者かによって創造されたのでは?と唱える研究者もいる。

人間の起源って狂気な科学者か、はたまた地球外生命体によってゾッとする人体実験で誕生したのだろうか。
興味のある人は別記事にまとめているのでそちらをどうぞ。
人間に進化はなく、異種交配?人間の起源とは?

おぞましく理解し難い研究をおこなうマッドサイエンティストはいるもんで、その名を血で刻んだ医師や科学者をまとめてみた
マッドサイエンティストが蘇生!狂気の古代兵器ミステリー

ちょっと道が逸れたがそう、この映画『ムカデ人間』は実は実話に近いのよね。

『ムカデ人間』を地でいった”死の天使”ヨーゼフ・メンゲレ医師

”死の天使”と言われたマッドドクター、ヨーゼフ・メンゲレ

“死の天使”と恐れられたヨーゼフ・メンゲレは戦後、南米での逃亡生活中にドイツにいた息子を呼び寄せて「世間で言われているようなことは全て嘘」と話したという。

戦後ナチスの関係者は皆同じような言い訳をしているが、この時代、ナチスは何をしたのか?

黒歴史をまとめてみた。
ゆるい黒歴史 ナチス編 特集:ヒトラーを悪魔に覚醒させた主治医モレル

そんなヨーゼフ・メンゲレは1943年5月から絶滅収容所アウシュヴィッツに勤務し、囚人を乗せた貨車がアウシュヴィッツに到着した時、ヨーゼフ・メンゲレはプラットフォームに立ち、降りてくる囚人の誰が仕事と実験に役立つか、また誰がガス室に送られるべきかを選別・指図したとか。


まさにユダヤ人の間で”死の天使”と恐れられたのよね。


奇跡的に生き延びたユダヤ人の証言によると、ヨーゼフ・メンゲレは選別中や人体実験中は軽薄な薄気味悪い笑みを浮かべながらクラシック音楽を口ずさんでいたとか。

アウシュヴィッツ絶滅収容所でヨーゼフ・メンゲレは「人間を去勢する研究」「双子を使った人体実験」など今でも目的がよくわからない研究をしていたらしい。

==ちょこっとブレーク==
アウシュビッツ強制収容所になぜガス室ができたかご存じだろうか?実は単純にユダヤ人を大量に効率よく殺害するため!ではなかった。もっと別に理由があったのだ。
なぜアウシュビッツにガス室が出来たのか?フシギな理由

一部の研究者の中では人種改良の人体実験で人体の様々な切断、肢体や性器の転換、その他『ムカデ人間』のような残忍な外科手術を繰り返し、仄暗い解剖室で元が何かわからない肉片に変えていたとか。被験者であったベラ・クリーガー氏が当時ヨーゼフ・メンゲレの実験室の様子を語っている。

「壁一面に人間の目玉が掲げられていました。青い瞳、ブラウンの瞳、緑色の瞳……。まるで蝶の標本のような眼球は私を見つめているみたいで、思わず視線を床へと落としました」


実際、1944年ごろ、ナチスのヨーゼフ・メンゲレは1500組、3000人の双子(そのうち180人が生還)を人体実験のモルモットとして医術研究に浪費していたという、ゾッとする数値を残している。

「かわいいモルモット」と呼んでいたヨーゼフ・メンゲレに対し、双子達はヨーゼフを「おじさん」と呼んでいた。
その”ヨーゼフおじさん”は双子の、特に少女を車に乗せて楽しげにドライブしたと言われるが、その双子達も次の週には解剖台の上に乗せられていたと証言があったりする。

意味不明な『ムカデ人間』製造研究の犠牲となった双子達

そのあまりの冷血ぶりを目撃した側近の医師達も冷たい手で首筋を掴まれたように戦慄が走ったとか。
病的なマッドぶりに周囲もついていけなかったっぽい。

その解剖台に乗せられた双子のうち、何らかの実験で一方を殺害し、健康のもう一方の人体と比較解剖の研究を熱心に繰り返していたとか。

また、双子それぞれの手足や性器を切断しては移植させるという実験を繰り返しており、上半身2つ、下半身1つの化け物を実験により創造に成功し、なんとそのおぞましい悲惨な元人間の子供は三日三晩泣き続け、側近医師が見かねて殺したとか。

それだけではなく、戦争が終結する直前にそんな『ムカデ人間』製造研究の人体実験の証拠隠滅のために囚人を皆殺しにすることを試みたが、毒ガスが底をついたので解放している。


そんなヨーゼフ・メンゲレだが本人をよく知る人物は、メンゲレは背が高くハンサムで親切な人物であったと評している。

これは実験体となった被害者も認めており、南米の同僚に至っては、アウシュヴィッツでの『ムカデ人間』製造研究について「彼がやったとは思えない。やったとしたら命令でしたのだろう」と発言している。

ただし、こんな鬼畜話まであるんだよね

「メンゲレの犬」とされたユダヤ人少年の記録

「メンゲレの犬」とはイスラエルにあるホロコーストとユダヤ人の抵抗の歴史博物館「ゲットー・ファイターズ・ハウス」のアーカイブで、17年前に発見された衝撃的で、戦慄でガクブルする証言録のタイトルなのよ。

それはホロコースト生存者であるレナ・キュヒラー・ジルバーマンの証言記録だった。
ナチスがおこなったホロコーストについて一体何をしたのか?実は単純な大量虐殺ではななかったことがわかってる。
詳細は別記事にまとめているのでそちらをどうぞ

ホロコーストとは?わかりやすく、マニアックにまとめてみた

彼女は戦後、約100人ものユダヤ人孤児たちをポーランドで保護していた。

絶滅収容所アウシュヴィッツでは”死の天使”と恐れたヨーゼフ・メンゲレ医師の『ムカデ人間』製造研究の人体実験用の「かわいいモルモット」として双子のユダヤ人の子供が収容されていた。

保護された100人の孤児の中に「メンゲレの犬」にされたオットー少年がいた。

オットーの記録は次のように始まる。


「メンゲレ医師がアウシュビッツで囚人らを選別していくなかで、オットーの妹アルシアが母親から引き離された。アルシアは母親にしがみついて離れまいと抵抗したが、犬たちがアルシアに噛みつき……殺してしまった。犬たちは、今度は母親に襲いかかったが、うち一匹を母親が絞め殺した。オットーが一歩前に進み出る番が来ると、メンゲレ医師は、オットーを犬のように振る舞うよう調教しろと命じた。過酷な状況下で、オットーは四つん這いで走らされ、吠えさせられ、人々に襲いかかって噛みつくよう強制された」

オットーによれば、ヨーゼフ・メンゲレは、このユダヤ人女性に攻撃犬を殺すほどの力があったことに驚き、こう言ったそうだ。

「残念なことだ、勇敢な犬だったのに。彼は何千人ものユダヤ人を八つ裂きにしてきた。総統に命を捧げてきたのに、汚らわしいユダヤ女に殺されるなんて」


オットーはメンゲレの前に呼び出された。メンゲレは、隣に座っている将校にこう告げた。

「この少年を調教して犬にしよう。そのうちユダヤ人どもに噛みつくようになるはずだ」

オットーの証言によると、彼はこの瞬間から「犬になった」のだった。

「メンゲレの犬」と言われたユダヤ人少年がいた

オットーいわく、鞭を手にした奴らは僕を四つん這いで走らせたり、人々に襲いかかって噛みつかせたり、延々と吠えさせたりしたらしい。


地獄すらも天国に見えたかもしれないアウシュヴィッツ絶滅収容所で『ムカデ人間』製造研究に従事することで好き放題だった”死の天使”ヨーゼフ・メンゲレが息子に話した「全て嘘」とは、息子に話した内容が!ってことだと納得するんだけどね。

悪魔に身を委ねた”死の天使”ヨーゼフ・メンゲレは裁かれることなく、心臓発作とはいえ、穏やかな最後だったことは「この世に神などいない」と言いたくもなるよね。

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