犯罪を犯しやすい身体的パターンが証拠となったフシギな話

正しくあろうとした人間の努力は認めるが・・・

「昔の犯罪捜査ってどんなだったのか?」
「犯罪捜査なんて名ばかりで拷問による自白がメインでしょ?」

そう思っている方向けの記事になります。(2020/09/06 更新)

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  1. 犯罪を犯しやすい身体的特徴パターンが証拠となった時代
  2. 犯罪を犯す人間には身体的特徴あり
  3. 女性も然り

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犯罪を犯しやすい身体的特徴パターンが証拠となった時代

こいつはクスリやってそうな顔しとる!っていう犯罪を嗅ぎ分ける「刑事のカン」が証拠になった時代があったのよ!
タバコの吸い殻から、その喫煙者の血液型がわかる時代でしょ?今は。
今の犯罪捜査ではあらゆるものが証拠となる。
街中には監視カメラが24時間、365日市民を監視、被害者の死体から医学的根拠を発見する法医学。

「犯罪捜査とは、犯罪に対し、捜査機関が犯人を発見・確保し、かつ証拠を収集・保全する目的で行う一連の行為」

(犯罪捜査とは・・・)

髪の毛一本からDNAを抽出し、あらゆる情報を抽出することができる。
将来はこのDNAからコンピュータ上で育成シュミレーションで、犯人の特徴を割り出すようなこともできるかもしれない。
だけど、昔はそうではなかったの。
19世紀までの犯罪捜査なんてひどいもんで、目撃者がいるかどうか、動機は?
あとは自白強要の拷問でございます。
中世ヨーロッパの魔女裁判なんてとんでもなかった。
まず被疑者を池に突き落とし、浮かんできたら魔女決定、沈んだら人間。
または赤く燃える鉄を素手で持たされ、火傷したら魔女決定、無傷だったら人間。

え?マジで?

って感じでしょ?この裁判にかかったら100%魔女よ。
かろうじて逃れても水死?
もし司祭が被疑者だったら一般人と魔女判定の基準が違う。
その司祭がパンとチーズのカケラを口に入れる。
その司祭が喉に詰まらせることなく食べることが出れば人間。
それだったらほぼ100%人間確定でしょ?
中世はこんな時代でした。
では19世紀はどうだったかというとちょっと言葉が難しくなって成長したような気がするだけで、実は魔女狩りとあんま変わらないんだよねぇ・・・
だって犯罪者には身体的な特徴があるっていうのよ?
あり得ないよね?

犯罪を犯す人間には身体的特徴あり

1890年代までの犯罪学者たちは犯罪者の身体には一定のパターンがあり、犯罪を解決することが出来ると考えていたの。
これどういうことかっていうと、超簡単に解説すると、

例えば、
ヘソの右側にホクロが3つある身体的特徴のある人は犯罪者っぽい!

ってことなの。
ある強姦犯罪者の右手の小指が異常に短いって特徴があったとしよう。
別の強姦犯罪で容疑者が複数人いた。
その中に真犯人がいるかもしれない。
容疑者達は自白しそうにない。
そういったときに容疑者達の中に異常に小指が短い人がたまたまいたとしよう。その彼が犯人にされるということになるの。
魔女狩りの時代よりも、なんか色々検査して特定しようとしている努力は認めるけど、やってることは魔女狩り時代とそんなに変わらないのよね?
国際的に知名度があったイタリアの科学者シゼレ・ロンブロソ博士は容疑者の身体的特徴を入念に調査すれば有罪か、無罪か判断する手助けになると大マジで発表したの。
バカか?酒飲みすぎ!って思うかもしれないけど、実は大マジなんだわ。
シゼレ・ロンブロソ博士の研究は当時最も称賛されていたチャールズ・ダーウィンの『種の起源』に基づいた考え方だったそうで、世界中の研究者が注目したものだった。
ロンブロソ博士はある時、ヴィエラという悪名高い犯罪者死体解剖をおこなった際にヴィエラが原始的に退化しているという驚くべき真実に直面したことから・・・

「私は全てが分かったような気がした・・・。犯罪の根本的原因が明らかになったのだ。それは原始人類と下等動物のもつ獰猛な本能を自分自身の中に再生させた退化した生き物だった」

(科学者シゼレ・ロンブロソ博士)

1876年、ロンブロソ博士は『犯罪者』を出版。
自分のことではないようだ!
新しい切り口の彼の犯罪捜査は波紋をよび、世界中の科学者達が犯罪者の身体的特徴を確認しはじめた。
しかし、問題になったのは身体のどの部分ががキーとなり得るのか?
という問題だった。
そこで注目されたのが頭蓋骨だった。
頭蓋骨の寸法が行動を決定するというような「骨相学」というのが生まれ、急速に発程していく。
この骨相学でお化けミステリーがあるんで紹介するね。

音楽家フランツ・ヨーゼフ・ハイドンって聞いたことあるよね?
ちなみに弟のミヒャエル・ハイドンも有名な音楽家。
フランツは、1732年3月31日 オーストリアのニーダーエスターライヒ州ローラで生まれる。
彼の作曲した旋律が現在のドイツ国家となっているみたい。
フランツは人生の大半をハンガリー貴族のエステルハージ家に仕え、今なお残る名曲を数多く作曲することになる。
そのフランツは1809年オーストリアで死去。
原因は持病の鼻ポリープの悪化と思われる。
遺体はアイゼンシュタットに葬られた。
だけど死後、オーストリアの刑務所管理人のヨハン・ペーターと、エステルハージ家にともに仕え、書記をしていたローゼンバウムが、頭部だけを切り離し持ち去ったみたいなのよね。
完全な犯罪だと思うんだけど。
なぜそのような奇怪な行動をとったかというと、ヨハンは当時流行していた骨相学信者だったの。
骨相学は、「頭蓋の外形から本人の性格や能力を判断しようとする学説」なんだけど、音楽家ハイドンの頭蓋骨にめっちゃ興味津々だったみたいなのよ。
まぁ、この骨相学ってのは20世紀初頭には否定されてんだけどね。
実際、ヨハン・ペーターはハイドンの頭蓋骨を使った研究テーマを論文にまとめ、発表している。
ヨハンは用済みとなった頭蓋骨をローゼンバウムに渡した。
彼は肖像画とともにその頭蓋骨を飾っていたという。
奇怪な事件が発生するのはここからなのよねぇ。
ある夜、ローゼンバウムの妻が自宅に飾られていたハイドンの頭蓋骨からうめき声が聞こえたと言い出した。
奥様はやはりこの趣味の悪い置物はいまいちだったみたいね?
最初は半信半疑で空耳だったかも?というくらいだったらしいんだけど、数日後、うめき声どころか、頭蓋骨の顎がガクガクガクガクと音を立てて歌ってる様子を目撃してしまい、大パニック。
こういった怪奇現象に耐えられなくなったローゼンバウムはもちろん手放すこととなった。
その後、このハイドンの歌う頭蓋骨は所有者を転々としたみたい。
最終的に死後86年経ってようやくアイゼンシュタットで胴体と一緒に埋葬されたそう。

そんな骨相学がなぜか発達してしまった為、犯罪者の特徴が証拠としてマジで使われるようになる。

犯罪者は下顎が発達し、犬歯の発生率が高く、顎ひげはわずかで、耳の形が異常である傾向が強い。

実際、1875年から1900年までこれら特徴パターンは実際アメリカの裁判で証拠として扱われている。
ところで女性は?

女性も然り

歴レポBlog
犯罪を犯しやすい身体的パターンが犯罪捜査で証拠となった時代というフシギな話
女性犯罪者の身体的パターンはひどい

こっからが本番でございます。
女性犯罪者を研究したラファエレ・グリエリは、イタリアのボローニャ近郊で逮捕された17歳から45歳までの娼婦たちを調査したみたい。
でも、女性犯罪者の特徴を研究するのになぜ娼婦を研究対象とするのかよくわからんところがあるんだけど。
さてさてその女性犯罪者の特徴パターンをあげてみましょう

  • ワキ毛の量が多い
  • 陰毛が肛門まで広がってる
  • 乳首の周りに毛が生えていた
  • 非常に硬くて張りのある巨乳または重力に負けた巨乳

これらの特徴を兼ね備えた女性は犯罪者だそうです。
私的にはホクロから毛が生えているのも犯罪にしてほしいくらいですが、犯罪者にはいなかったみたいです。
グリエリはこれだけでも不毛な研究であるにもかかわらず・・・
さらにエスカレートします
さらに15名の女性犯罪者を追加し、手のひら、額、鼻の先、舌の先、頬、胸、内側の太腿の付け根、卵巣、デリケートゾーン、これら部位に電気ショックを流し、感じやすさを調査したという。
調査の結果、娼婦達は普通の女性よりも感じやすくないということが分かった。
その為、上にあげた特徴に加え、
感じやすくない女性というのは犯罪者ということなったそうだ。
ところでこの女性犯罪ってのはなんの犯罪なのかよくわらないんだけど、とにかく犯罪者になり得る特徴らしいのよね。
このご立派な研究のおかげて世界規模で大変な冤罪の温厚となったことは言うまでもないよね?

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