過酷な受験期を乗り越えるには必ず必要なものがある!
「中学受験をさせたいけど、うちの子にできるかしら?」
「中学受験する子ってどんな生活をしているの?」
そんな疑問を持つ方に向けた記事になります。(2020/02/06 更新)
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- 中学受験:夢と現実が交差するフシギな体験談
- とんでもないところへ行く唯一の方法
- 努力、努力の日々が産んだ驚愕な事実
- 過酷な受験期を乗り越える根幹に存在する大事な存在
- 兵どもが夢の跡・・・
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中学受験:夢と現実が交差するフシギな体験談
その瞬間、もう涙を止めることはできなかった。
そんな娘の姿を目にするとは思わなかった。
「ヤッタァ!合格」そんな軽い言葉で明るく、ホッとした表情で喜ぶ娘の姿を想像していたんだけど。
合格発表の掲示板をみた娘は小刻みに震えていた。
「・・・あった」
小さな、震えるような声で、娘の心の声が漏れるのを私は聞いた。
小さな身体にしまい込んでいた感情が土石流のように襲い流れ出し、コントロールを失った感情は戦い疲れ、視力を失ってメガネになってしまった娘の眼から熱い涙となって溢れ出した。
何も言えない!娘はまさにそのような状況だった。
「あの学校に行きたい」そんな夢を小学3年生から準備を始め、私には遠い、出口の見えない道を進んでいるかのような感覚に襲われていた。
「本当に実現するのか?」
実は本人も受験とは何かさえ理解できないレベルの話からスタートしていたのだ。
それは娘の成長にも影響を与えるほどのとてつもない努力、努力の3年間のスタートでもあった。
とんでもないところへ行く唯一の方法
娘は過去様々な私立校の受験問題として実際に出題された計算問題を10分間で7問から8問解答を出してしかも全問正解することができる。
「いやいや、計算問題なんて余裕なんじゃない?」
外野のヤジより
と思われるかもしれないが、受験に出る計算問題というのはたった1問の中に、分数、少数、整数がご丁寧に織り交ぜられており、カッコや、大カッコ、掛け算、割り算と見ただけでゲップが出るような、おぞましい計算問題なのだ。
私なら1問目で問題集を閉じてしまうかもしれない。
娘も最初からそんな悪寒が全身を駆け抜けるような計算問題をスラスラできたわけではない。
実は最初、30分で3問がんばって解けるか?
解いても全問間違いか、
最悪、計算のやり方がわからない
のどれかだったのだ。
だけど、娘は朝6時30分に起き、窓際の机に座ってタイマーをセットしてこの見ただけで吐き気がする計算問題をやり続けた。
そして間違った問題を夜、ママと一緒にやり直す。
それをただひたすら繰り返した。
それも毎日、一年以上もの、途方もなく長い時間の中でだ。
継続は力なり!
と言葉でいうのは簡単だが、それがどれほど辛く、難しい事かは誰もが知るところだろう。
まして、この計算!
これを毎日続けるだけで相当な苦痛を伴うことは明らかだろう。
しかし、最終的には検算でミスをカバーするところまで到達!
娘は数字に強かったわけではない。
勉強が大好きなタイプでもない。
だけど娘の唯一の特殊能力は・・・
ルールを守り、継続することが出来ること。
コツコツと努力し続けることを得意としていた。
時間はかかるが確実に結果を出すことを娘は知っている。
こんな話もある。
小学5年生の時に漢字検定を受験しようとしたんだけど、なんと学校レベルの漢字テストで堂々の0点!
おいおい、のび太かよ!っていうか0点なんて取る奴がいるのか?
いや娘が取ってるし (ToT)!
という感じて今だから笑い話だが、当時は全身の毛が一気に抜け落ちるくらいのショックだった。
なぜなら娘は間違いなく受験生だったからだ。
「こんなことで合格できるのか?いや待て!そもそも受験生と定義して良いのか?」
私がそう思うのも無理はないだろう。
がしかし、3ヶ月後、娘は漢字検定を満点合格という偉業を成し遂げた。
どうやって満点まで持っていたか?
毎日ひたすら過去問を解いて小テストして、間違った漢字を覚えるというサークルを繰り返し、過去問数回分を5回以上繰り返した。
ひたすら、毎日毎日・・・
そんな具合で6年生範囲の漢字検定も合格していた。
娘のコツコツ努力する姿はあのイチローの名言を思い出させる。
「とんでもないところへいく唯一の方法は毎日コツコツ努力することのみ」
イチローより
だけど平然と努力し続けるほど化け物でもない。実は娘はたった半年で驚異的な身長の伸びを記録していた・・・・
努力、努力の日々が産んだ驚愕な事実
私は子供たちの成長記録として、子供の誕生日に壁に身長を記録している。
2020年2月では娘の身長は138cmだったが、2021年2月の時点で150cmを超えていた。
小学校6年生の伸び盛りということもあるかもしれないが、6年生になって急にモリモリご飯を食べるようになったことも理由に挙げられる。
実は元々ご飯が嫌いであまり食べる方ではなく、嫁も苦労していた思い出がある。
全く食べない娘に嫁は「私の料理がマズいのか?」と悩み、嫁の嫌いなレトルト食品に手を出してまで娘の食欲を引き出そうとしたくらい。
なので6年生になって、モリモリ食べるようになった娘を見て、「勉強を頑張り、食欲旺盛で問題なし」なんて気軽に思っていたが、今思えば、その驚異的な身長の伸びこそ、勉強のストレスの蓄積だったと言える。
私は仕事でストレスがあると暴飲、暴食に走る癖があるんだけど、そこがしっかり娘に遺伝していたことに気がついた。
なんのストレスもなく、毎日コツコツ努力し続けたわけではなく、必死に気持ちをコントロールしていたのだ。
「ママとパパ、3人で決めたルールを守れば、努力し続ければ合格するはず」
そんな素直な想いを鉄の柱に変えて、心を支えていたようだ。
しかし、その鉄の柱で支え続けるには力が必要で、娘の小さな身体ではすぐにエネルギーが枯渇してしまう。
それが暴飲・暴食となって現れ、娘は驚異的な成長を遂げていたということかもしれない。
そんなこととは全く知らずに「よく食べるようにあった」と喜んでいた私はバカみたいに思えてくる。
受験が終わったその日から、娘の食欲は以前のように落ち着いたことからもそれを証明している。
しかし、なぜそれほどまでに努力し続けることができたのだろうか?
過酷な受験期を乗り越える根幹に存在する大事な存在
「勉強しなさい!」
「テレビばっかり見てもバカになるだけよ」
「将来苦労するよ」
そんな言葉を投げかけてやる気が出るだろうか?
見ただけで鳥肌が立つような寒気のする計算問題を毎日解く努力が生まれてくるものだろうか?
いやいやあり得ないだろう。
なぜ努力することが出来る?
それは燃えるような願望があることに他ならない。
「私はあの学校に行きたい」それだけでもいいだろう。
しかし、娘の場合少し違う。
「将来、ソプラノ歌手になりたい!」
深堀レポ記事 >> “思考は現実化する”では50%、それでは願望はまだ揺らぐ
それが娘の燃えるような、そして誰にも譲れない鉄壁の願望。
そこに到達するには音楽大学の声楽科で勉強する必要がある。
さらにそこにいくには「志望校で6年を通して音楽も勉強したい」という鉄壁の目標、夢があった。
だから心と身体を支え、前へ進むことができたと私は思っている。
しかし、それは並大抵の努力ではなく、その代償は身体が物理的に膨張してしまうほどだったというのが実は正しい見方かもしれない。
私は娘にこんなことを言ったことがある。
「結果を出して、初めて頑張ったと言える。結果が出てもいないのに頑張ったとは言わない」
ガンコ親父より
と。涙目で聞いていた娘がいた。
悔しかったと思う。
娘は今「死ぬほど頑張った」と胸を張れるだろう。
合否発表の掲示板で自分の受験番号を発見した時、さまざまなシーンが娘の身体に襲いかかり、そして通り抜けていったのだろうね。
最後の1ヶ月はまるで映画のようでした。
こんなことがホントに起こるんだ?って思った。
そんな鉄の願望を持った娘にしてもまるでバタリアンに生気を吸い取られていくかのように成績がみるみるうちに落ちていったのだから。
強い願望を持って本気で取り組んだからこそ、その反動は巨大な恐怖となって襲いかかっていた。
「落ちたらどうしよう」
悪魔(もう1人の自分)のささやき
もう1人の悪魔がそうささやくのよね?
娘の受験最後の難関は難しい問題をどうやって解くかではなく、どうやって心に住まうもうひとりの自分である悪魔に打ち勝つことが出来るかだった。
私は「悪魔を追い出す、唯一の方法は正しい考えで判断することだ。
悪魔を追い出せ!余計な未来は考えるな!」と娘にしつこく言うこと以外できなかった。
そして娘は最後まで悪魔と闘いながら、受験に挑むことになったのだ・・・
兵どもが夢の跡・・・
いつも朝起きると娘は赤いちゃんちゃんこを着て、あのおぞましい、血も凍る計算問題を一生懸命解いていた。
そんな娘の後ろ姿を眺めながら
「がんばれ!計算力よ、アップしろ!」
そんなファンタジーな魔法を私は心の中で叫んでいた。
でも今その姿は夢、幻と変わっていた。
その当時、夢、目標だったことが現実となり、現実だったことが夢、幻となって消えていた。
私は朝のコーヒーを飲みながら、娘がしがみついていた、夢の跡である勉強机を眺めている。
私の胸はなぜかぽっかりと大きな穴が空いてしまったような感覚に囚われている。
それは娘が受験に打ち勝ち、夢を叶えた安堵感か、それとも頑張る姿を見ることができなくなった寂しさからか・・・
おそらく、その両方のような気がする。
娘はまだ、眠っている。
多分、素敵な制服を着た新しい夢の中で羽を広げているに違いない。
夢、幻となった「勉強する赤い小さなちゃんちゃんこ」の後ろ姿を記憶から思い起こしながら、
「夢に一歩近づいたね」
と涙いっぱいの笑顔な娘が語った一言を、私は思い出していた。